『すらすら読める伊勢物語』高橋睦郎
「むかし、男ありけり」で有名な
伊勢物語です。
初心者なので、分かりやすそうな
本を選びました。
高校生の頃から、好きな歌・詩を
集めたノートがあります。
その中に
行く水に数かくよりもはかなきは
思はぬ人を思ふなりけり
と書いていました。
なんと、伊勢物語の中の歌でした。
前後があるので、紹介したと思います。
***
第五十段
あだくらべ
(かつて、男がいた。
男のつれなさを恨む女を逆に恨むふりの歌を詠んで、)
むかし、男ありけり。
恨むる人を恨みて、
男
鳥の子を十づつ十は重ぬとも
思はぬ人を思ふものかは
女
朝露は消えのこりてもありぬべし
誰かこの世を頼みはつべき
男
吹く風に去年の桜は散らずとも
あな頼みがた人の心は
女
行く水に数かくよりもはかなきは
思はぬ人を思ふなりけり
男
行く水と過ぐるよはひと散る花と
いづれ待ててふことを聞くらむ
あだくらべかたみにしける、男、女の、
忍びありきしけることなるべし。
(浮気くらべをおたがいにしていた男と女が
相手の目からかくれてほかに通っていた折
のことなのだろう。 )
ありがとうございました。
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